水景の雑記帳

雑談多めの「深く考えない脊髄反射的な」ブログ。ほどよい息抜きに。

iPod nano って覚えてますか?

今週のお題「懐かしいもの」

 

 この間、部屋を掃除していたら、

 奥底から出てきたのですよ。iPod nano(第1世代型)が。

 

 こんなやつ。

 



 

 なんで、これ手に入れたんだっけ・・・??

 と昔を思い返してみると、あれは、中学生の頃。

 

 当時、私が通っていた学習塾は

 予備校のような感じではなく、

 「来たい時に来て、帰りたい時に帰る」がモットーの自由な雰囲気の個人塾。

 

 通っていた学生数も多くはなく、

 常に少人数、運が良ければ先生と1対1で濃い授業をしてくれる塾でした。

 

 先生自身は、成績をガンガン上げようとか気にするようなタイプの人ではなく、

 あくまでも、学生本人のやる気を信じて、後押ししてくれる感じの人。

 

 しかし、私が初めてこの塾に入った時は、

 あまりの成績の低さに先生からは全く期待されていない状態でした。

 

 しかし、無類の特性:負けず嫌いが発動し、

 ガンガン成績を破竹の勢いで上げていき、気がつけば学年トップまで上り詰める。

 それまでは、この塾は「遊んでるだけの甘い塾」と後ろ指を刺されていたのが、

 そんな塾から学年トップが出たという噂が噂を呼び、

 学生数はどんどん増えていきました。

 

 塾としては、嬉しい悲鳴、のはずだったのですが、

 これまでのような少人数スタイルの授業ができなくなったばかりか、

 集まってきた学生は決して出来は良くない、烏合の衆ばかり。

 

 そうなれば、当然、先生の負担は増えるだけで、

 この塾の売りの「自由さ」が全く機能しなくなってしまったのです。

 

 そもそも、塾の火付け役にたまたまなっただけの私は、

 部活、交友関係など青春の全てを勉強に全振りして結果を手にしただけなので、

 文字通り血を吐き、地を這い、ボロボロになってまで得た成果。

 

 そんな血が滲む努力をすることは悪いことではないけれど、

 先生は、私のそういう無鉄砲さに不安を持っていたようで、

 学生が増えたことを機に、私を先生のサポート役に据えて

 「俺の手が回らない生徒の面倒みてくれへん?」と私に新しい役割をくれました。

 

 

 これで、塾に通い詰めな私でも

 交友関係を広げる機会を持たせることもできるし、

 人に教える経験をさせて、私自身の勉強の仕方を見つめ直す機会を与えることが

 何よりも最優先事項だったと、卒業してから先生には言われました。

 

 ほんまに、「人を伸ばす才」のある立派な教育者でしたわ。

 私も人を教える立場に立った時、改めて先生の偉大さに気付かされました。

 

 

 しかし、先生の悩みの種の1つは

 私が良く言えば努力家、悪く言えば向こう見ずな猪突猛進型であること。

 先生のサポート役という名の第2の先生ポジを私に与えても、

 もしも、他の学生を教えることに匙を投げられたら?

 言っても、まだ中学生だし、周りを見る視野も狭いし。

 

 そこで、先生が打った策が、

 テストの成績がトップだったからという理由で、

 私に特別にiPod nano を無償でプレゼントしてくれたのでした。

 

 そして、これは先生自身の私への信頼の証であり、

 これからは学生の本分たる勉強にこれまで通り努力するのに加えて、

 塾の状況を鑑みるに、私を先生のサポート役に付けるから手伝ってくれと

 本当のことを話してくれたのでした。

 

 

 まぁ、物で釣るという単純な策ではあったものの、

 私の成長を信じ、今後の塾の経営方針に私の存在も織り込むことで、

 私のさらなる成長、周りの学生のレベルの引き上げなど塾が抱える諸問題を

 打開する作戦として実行したのでした。

 

 

 

 私は、この塾の先生は

 第2の祖父と言っていいくらい、可愛がってもらったし、

 底辺からトップオブザトップまで駆け上がるきっかけをくれた恩人だし、

 この先生が大好きだったので、当時の私はすごく嬉しかったのを覚えてます。

 

 その影響で、私は北海道生まれ、北海道育ちにも関わらず、

 時たま大阪弁が出るくらいには、先生の塾に入り浸っていましたw

 

 その先生が大阪出身・阪大出身の超優秀な人で、

 元々は空自の戦闘機パイロットだったという異色の経歴の持ち主。

 

 そんなに優秀な人に教わって、可愛がってもらって、

 さらには、塾の支えになってくれと信頼もしてくれた。

 

 当時の私からすれば、これ以上にないほど嬉しかったのを覚えています。

 

 そして、先生の信頼に応えようと

 周りの学生の勉強のサポート役もこなしながら、自分自身のレベルアップもして

 この塾は近隣の進学塾よりも優秀な塾として名を馳せることとなったのでした。

 

 このiPodをみると、そんな時代もあったなぁと懐かしく思いつつも、

 果たして、今の自分はあの時、

 先生が信じてくれたほどの人間に成長できたのだろうかなんて

 しんみりと考えてしまいました。