以前に、こんな投稿をしました。
今回は、実際に資格を取ってみて思ったことのお話です。
1 ヒトの心を「救う」ことはできない
カウンセラーに限らず、心理に興味のある方は一度は思うのでは?
「相談に乗ることで、救われる人もいるかもしれない」
「人の役にたつ仕事がしたい」
私もそう思ってました。でも、残念ながら、これ、幻想です・・・。
確かに、「話を聞いてもらえてスッキリした。救われたように思う」
そんな風に言ってくださるクライアントもいるかもしれませんが、
それはあくまでも「結果」にすぎず、カウンセラーの「任務」ではない。
カウンセラーの「任務」はあくまでも「お手伝い」をするだけ。
出口が見えない悩みに囚われている人、文句を言いたくても言えない人、
家族・友人関係で悩んでいる人、精神的にちょっと疲れた人。
そんな人たちの「少し前に進むためのお手伝い」をするのがカウンセラー。
確かに、立派な仕事の1つだと思いますし、現役カウンセラーで活躍されて
いる方は尊敬します。しかし、私が思っていたような「救ってくれる人」
ではないのです。
2 共感は大事。でも、それに取り込まれないのはもっと大事。
誰だって、「そうだよね」と共感や理解を示してくれたら嬉しいもの。
カウンセリングもこの共感というのは、本当に大事だと言われています。
それも、「無条件で受け入れること」が要求されます。
自分の意見や見方は一旦、捨て置いて、相手の話にただ耳を傾ける。
そこで「この人は何を思い、考え、何に悩んでいるのか」を分析する。
メモ帳を片手に、「一言も聞き逃すまい」と必死になって話を聞く。
そうして、「そうお考えなのですね。わかりました」とその是非は問わず、
ただ「相手を肯定する」。これは簡単なようで、めっちゃ難しい。
しかし、そうかと言って、相手の話に感情移入したり、相手の思考に同調
するのはNG。自分は自分。相手は相手。その線引きは忘れずに。
3 心は様々な形をしている
一言で「悩んでいる」といっても、その「悩み」の原因も、その人の状況も、
一人一人バラバラ。「誰だって、これ悩むよな〜」というものから、
「え?これのどこが悩みなの?」というものまで、本当に様々な「悩み」を
相手にするのがカウンセラー。カウンセラーだって人間ですから、そういう
感想を持つことはあります。しかし、クライアントが「悩み」だと認識する
以上は、それに真摯に向き合わねばならない。
そういう意味で、「この人にはどう対処すれば良いか」という戦術プランを
立てるのは、カウンセラーの大仕事の1つ。でも、難しい・・・
4 自分の精神的な健康を維持する
当然といえば当然のことですが、やっぱりカウンセラーだって人間なので
精神的に疲れたりもします。クライアントの話を聞いて、逆にカウンセラーが
参ってしまうなんてこともあるとかないとか。でも、自分の精神的健康を
維持できないような人に相談なんかしたくないですよね?
人間、喜怒哀楽の感情を持つものですが、それを上手に制御して、常に
精神衛生を良い状態にキープする。だからこそ、クライアントも安心して
相談しようという気持ちにもなるというもの。それができてプロ。
5 生涯、勉強
何事もそうだとは思いますが、心理に関することは特に、生涯、勉強です。
だって、人の「悩みの種」って時代とか環境とかによって変わったり、
新しく発生したりするから。「昔はこうだった」という理由で、その手法が
今のクライアントに通用するかといえば、おそらく通用しないでしょう。
何が、人を悩ませるのか。それは、普遍的なものなのか。そうだとしても、
クライアントがその「悩み」に行き着いた経緯は?あるいは、「自分」には
理解できない「悩み」を持つクライアントが現れたら?「わからない」という
理由で見捨てるのはプロではない。じゃあ、どうやってアジャストするか。
そんなことを考え始めたら、キリがない。だから、生涯、勉強。