水景の雑記帳

雑談多めの「深く考えない脊髄反射的な」ブログ。ほどよい息抜きに。

世の大学4年生・修士2年生よ、あと一山だ!

 

 12月も下旬に入ってきて

 世間はもうクリスマスにお正月ムードで華やかですよね。

 

 しかし、今日は、

 そんな華やかなムードの中、頑張っているであろう

 大学4年生・修士2年生へのエール記事にしようかと。

 (私の読者様に学生さんはあまりいなかったはずですが、まぁ、いっか)

 

 

 おそらく、

 卒業論文修士論文も提出締切時期目前で

 仕上げにラストスパートをかけている頃ではないかと思います。

 

 

 論文って、書いてみて思うのは、

 小説とかブログ書くよりも、難易度が高い ← そりゃ、そうだろ!

 

 論文としての体裁を整えることも

 先行研究をしっかり読み込むことも

 自分が何を主な研究テーマとしているのかも

 全〜〜部、徹頭徹尾、整合性がなければいけません。

 

 こういった点も難しいのはそうなのですが、

 私が思うに、論文執筆で一番、大変なのは、「面白いか」ということ。

 

 

 私は、修士号まで持っていますが、

 教授陣から常に言われたのは「面白く書け」ということ。

 

 別に、笑いを誘えという意味の「面白さ」ではないですよ?

 

 

 耳タコになるまで聞かされた「ダメな論文」の典型例で説明します。

 

 その1:先行研究批判だけで終わる論文

 これは、学士の卒論を書く人がよくやりがちなパターンです。

 自分の研究テーマをしっかりと立てられれば、良いのですが、

 中にはそれがうまくいかずに先行研究(過去の研究論文)の批判だけで

 紙面を埋め尽くしてしまう人もたまにいるのです。

 

 しかし、はっきり言って、これは「最悪なパターン」です。

 つまり、「つまらない論文」の典型です。

 

 論文とは、

 本来、自分の研究テーマ・仮説・裏付け・結論の4つの要素から成るもの。

 先行研究の批判など、せいぜい自分の仮説の正当性を少しでも上げるための

 踏み台に過ぎないのです。

 

 めっちゃ乱暴に言ってしまえば、

 先行研究批判など最悪、なくとも論文は1本書けます。

 ただ、あくまでも研究者ではなく、1学生として初めて論文を書くから、

 その参考として先行研究は見ておこうねくらいの位置付けなのです。

 

 さすがに、これはちょっと極端ですが、

 めっちゃオリジナリティ高めのテーマで論文を執筆しようとすると、

 先行研究など見当たらないなんてことも珍しくもありません。

 だって、それまで誰も考えもしなかった新しいテーマなんですから、

 過去に似通った研究などなくとも不思議でもないでしょう?

 

 しかし、反対に先行研究がいっぱいあるテーマで論文を書くと

 「似たような研究がいっぱいある」ので、先行研究を探すのは簡単です。

 が、散々議論されてきたテーマで今更「新しい発見」などそうそう出ません。

 それは、ともすれば自分の研究の価値を下げることにもつながります。

 

 

 ブログやYouTubeで例えてみましょうか。

 これまで、ブログやYouTubeで活動してきた人がいっぱいいて、

 様々な企画や記事、アイディアが次々と発表されている環境で、

 「自分だけのオリジナルカラー」を出すことが簡単かと言えば、

 まぁ難しいですよね。いわゆる「レッドオーシャン」ってやつです。

 

 似たようなことをやっている人がいっぱいいるから、

 自分になかなかスポットライトが当たらない。当たり前です。

 

 ブログやYouTubeなら、

 時間さえかければ、それに応えてくれるユーザーさんも現れるでしょう。

 そこから、人気を得ることだって夢ではないかもしれません。

 

 しかし、論文は一発勝負です。

 一発で「これは良い研究だ」と思わせなければ、

 これまで多くの学生たちが書いてきた論文の山の中に埋もれて終わりです。

 教授たちも特に深く読まずにシュレッダーにインで終わりです。

 

 結局、一番大事なのは、バランスです。

 

 先行研究すら探せないくらいの全く斬新なネタを仕込んでも良いでしょう。

 自分がパイオニアだ!と胸を張って、持論を堂々と展開しましょう!

 読む人も「え!?」という衝撃で夢中になって最後まで読んでくれるはず。

 

 先行研究は多いけれど、そこに新しい自分の見解を加えても良いでしょう。

 「前にこんなことを言ってた研究あったけど、実はこうなんちゃう?」と

 ツッコミを入れるように自分の考えをはっきりさせて書いても面白くなるはず。

 

 しかし、「過去にこんな研究をした人がいて、こんなことを言ってました」で

 終わる論文が面白いわけがないんですよね。ゆめゆめ、お気をつけください。

 

 

 

 その2:これまでの研究の流れがわかっていない論文

 これもまぁ、けっこう難しい話なのですが、大事なことなので。

 

 全く斬新なアイディアを仕込むにしろ、先行研究から学びを得るにしろ、

 自分がその考えに行き着くに至った道筋というのが必ずあるはずです。

 

 そのための1つの羅針盤的な活躍をしてくれるのが、「過去の研究史」です。

 

 例えば、友達2人が話をしていて、

 「タリーズって居心地いいよね」なんて話していたとします。

 

 この会話にあなたが加わるとすれば、どんな風に話しかけますか?

 

 人によりけりでしょうけれど、

 タリーズが喫茶店だと知っていれば「ドトールも好きだけどね」とか、

 「居心地がいい」つながりで「快活派だけど、喫茶もたまにはいいね」とか

 そんな感じで会話に入っていくのが普通の感覚ではないでしょうか?

 

 まさか、

 「それよりさぁ、外でサッカーしようぜ」なんて話かけ方はしないでしょう?

 

 この例えで言えば、「喫茶店の話をしている流れがある」ということが

 「これまでの研究史をしっかり理解しているか」ということになるのです。

 

 これをあまり理解せずに、「それより、外でサッカーしようぜ」みたいな

 ネタを論文に仕込んでしまうと、「え?そんな話してたっけ?」と

 困惑されるような仕上がりになってしまいます。

 要するに「勉強不足」丸出しな雰囲気プンプンな出来栄えです。

 

 ただ、「話の視点をあえてずらす」ということ自体は、

 面白い論文を書く上では、決して悪い戦略ではありません。

 

 さっきの例に戻ると、

 「タリーズって居心地いいよね」

 「確かにね。サッカーの試合の後とかによく行くんだけど、

  喉からっからな時に飲むアイスティーが最高なんだよね」

 

 どうですか?さっきの、いきなり「サッカーしようぜ」と話しかけるよりは

 話の流れを読んだ上で「サッカー」と「タリーズ」をつなぎ合わせる流れを

 作っている分、自然な話の流れになっているように感じませんか?

 

 これを論文に取り入れれば良いのです。

 これとあれって、関係なさそうだから、ネタに使うの無理かなぁなんて

 思っていたとしても、案外、全然関係なさそうなネタ同士が合わさった時に

 激烈な化学変化を起こし、新しい話の流れができることもあるのです。

 

 

 その3:これからの研究発展のための展望がない論文

 論文は「書いたらそれで終わり」ではありません。

 

 卒論にしろ、修論にしろ、大学の記録に残る公の文書として扱われますし、

 学会などに出る予定ならば、なおさら自分の論文の出来にはこだわるべきです。

 

 どんなテーマを仕込んでいるにしろ、

 自分の論文のことを一番わかっているのは自分自身でなければなりません。

 

 たまに見かけるのは、口頭試験で

 「どうして、こういう論理になるの?」と聞かれて

 「えっと、あの・・・」と答えられない人。

 

 こういう人は、自分の論文を自分がわかってない典型です。

 そうなってしまう理由は、卒論や修論レベルならだいたい次の2つですかね。

 

 ① 教授に言われたから

 ↪︎ これ、けっこう多いのではないでしょうか。

   自分はこういう流れに持っていきたいけど、教授にアドバイスを求めると

   「いや、こうじゃないか?」と全然違う意見を言われる。

   自分でも「ん?」と納得はいかないけれど、教授の言うことだし、

   その通りに書いておくかなんて妥協して、そう書いてしまい、

   結局、その部分の論理展開がどうなっているのかわからなくなるパターン。

 

 ② 疲労などにより、その部分を深く考えずに書いた

 ↪︎ これも、よくありがちな理由です。

   論文って、1本書くのにとにかく時間がめっちゃかかるんです。

   卒論など、慣れていない人は特に年単位の時間が必要になるくらい。

 

   でも、そういう長丁場で作業を続けていると、

   当然、疲れも溜まるし、ストレスも溜まるしで、

   集中力が切れる時期というものがどこかであるはずです。

 

   その時期に、核心に触れるようなことを書いてしまうと、

   論理展開がおかしくなったり、自分でも流れがわからなくなったりと

   あまり良い結果にならないことが多々あります。

 

   そういう時は、核心に触れる部分ではなく、

   例えば、体裁を整えるとか、ページ数が合っているかチェックするなど

   単純な作業をすることをおすすめします。

   地味な作業ではありますが、どうせいずれはやらねばならないこと。

   だったら、ちょっと頭を休める意味で細かいことですが、

   ちゃんと綺麗な仕上がりになるような努力をした方が有益でしょう。

 

 

 記録として残る、数年後の後輩に公開される可能性もあるなど、

 見られて恥ずかしい論文なら、最初から書かないほうがマシです。

 最後まで、自分の持論に責任を持ってやり遂げましょう。

 

 

 

 私が学生の頃に教わった論文の「ダメな典型」はこんな感じでした。

 

 しかし、私が思うに、本当に大事なことはここからです。

 

 4 完璧な論文を書ける人なんていない

 論文って、必ず、どこかに「抜け」や「穴」があるものです。

 たとえ、一流と言われる研究者の人が書いた論文であったとしても。

 

 だから、「ダメな典型」なんて言い方をしましたが、

 厳密に言えば、「ダメなところがない論文は存在しない」と言うべきでしょう。

 

 口頭試験で詰められることもあるでしょう。

 学会に出してもめっちゃディスられることもあるでしょう。

 

 でも、「完璧」などそもそもあり得ないのだから、

 そういう部分で責められるのは仕方ないと腹を括りましょう。

 

 自信のなかった部分で腰が引けたのなら、

 「ここのところをもう少し、詳しく教えてください」と教えを乞いましょう。

 

 自分でも想像もしなかったところから横槍が来たら

 「それは想定していませんでした」と正直に言いましょう。

 「貴重なご意見感謝します」とありがとうと言っても良いでしょう。

 

 

 5 アンチがいないわけがない

 これも、さっきの腹を括れと似ている話なのですが、

 学術研究において、アンチは絶対にいます。どんな人にも。

 

 「これは上手くまとまったぞ」と自信満々でいっても、

 「は?何、これ?」と言われないことの方が少ないでしょう。

 

 人の言い方にもよるかもしれませんが、

 「うわぁ、この人、絶対、文句言ってくるタイプだ」と思っても、

 そこで臆してはいけません。

 

 「あぁ、アンチ派ね。はいはい」くらいに流せるメンタルで挑みましょう。

 

 それに、研究者の人って、自分の研究上の信念とかがはっきりしていて

 づけづけ言ってくるタイプの人が多いので、そんなことにいちいち反応してたら

 こっちの心身が参ってしまいますので。

 

 6 何よりも「苦しみつつも楽しむ」こと

 一番大事なことは、苦しみつつも楽しむこと。これ1点に尽きます。

 

 論文執筆って誰がやっても辛く苦しいし、論文を書く人にしかわからない辛さ。

 そこに色々なストレスがかかってくるとなれば、

 論文執筆中の人のメンタルってけっこう弱ってることが多いんです。

 

 でも、その中でも「楽しい」と感じられるくらいになれれば本物です。

 

 最初は、何か難しい言葉をこねくり回していただけかもしれなくても

 やっているうちに「あれ?これってこういうことか!」という発見、

 「もしかして、これって大発見じゃね?」という興奮、

 そして、なにより「自分の言葉が、論文という形になる」という喜び。

 

 こういうものを感じることができるのも論文を書く人にしかわからない感覚。

 

 私は学生の頃、研究者か作家を目指していたのですが、

 どちらの道もこういう部分に喜びを感じていたからこそ抱いた夢ですし、

 今、こうしてブログという形で自分の思いを言葉に乗せて発信しているのも、

 同じ理由です。

 

 最後に、ストレスコントロールという意味での「楽しさ」を紹介します。

 ・論文執筆環境を変えてみる

↪︎ 私がよくやっていたのは、早朝のカフェで論文執筆でした。

  人も少なくて静かですし、店員さんも気を利かせて「頑張ってね」なんて

  声をかけてくれるだけでも嬉しかったです。

 

  あとは、お金に余裕があれば、温泉旅館もおすすめです。

  作家さんがよくやるといういわゆる「缶詰」を再現するのです。

  単純に温泉に浸かってるだけでもリフレッシュできますし、

  誰にも邪魔されない部屋の中でよ〜く熟考して考えを深める環境も良いです。

 

 ・休む時は「本気で」休む

↪︎ 当たり前ですが、休む時に休むことも大事なこと。

  しかし、一旦、論文作業を中断する以上、こういう休憩は「全力で」やること。

  休んでいるのに「あの部分、どうしよう」とか論文のことを考えるのはNG。

  論文という2文字をぶっ飛ばすくらい、休む時は休むことに集中です。

 

 ・大学とは関係のないところに出会いを求める

↪︎ 友達でもいいですし、バイト先でもいいですし、

  勉強・論文以外の話題で話せる人を見つけましょう。

  悩んでいる時でも、「わかってくれないかもしれないけど」話すと楽になる

  なんてこともよくある話です。

  もしかしたら、そこで出会った人が人生のパートナーになることもあるかも?

 

 

 ずいぶん長くなりましたが、

 修士まで取った私から言える論文執筆アドバイスはこれくらいです。

 

 論文提出が終わった人も、まだ締切ギリギリで頑張っている人も、

 まだまだこれからやることはいっぱいあります。

 学位記を授与されるまでは、気を抜かずにぜひ「面白い」論文を書いてください。