3月に入り、プロ野球はオープン戦シーズンに入りましたね。
さぁ、今年はどのチームがペナントレースを制するのか。楽しみです!
しかし、今日のお話は、そういう華々しい話ではなく、
ちょっと真面目なチームとファンとの間の関係性のお話。
- 1 ヒーローインタビューでの異例の「お願い」
- 2 選手は勝ちたい。ファンは勝つ姿が見たい。
- 3 選手は仕事。ファンは娯楽。
- 4 ファンファーストな球団方針は立派だけど・・・
- 5 プロが抱えている「苦悩」も知って、もっと楽しもう!
1 ヒーローインタビューでの異例の「お願い」
昨年の秋頃。ペナントレースも終わりを迎えようとしていた時期。
北海道日本ハムファイターズは、クライマックスシリーズ挑戦の道が絶たれ、
チームとしては非常に苦しい状況に陥っていました。
そんな中、対オリックスバファローズ24回戦でのヒーローインタビュー。
お立ち台に上がった松本剛選手がこんなことをファンに訴えていました。
「最近は本当にチームも自分も打てない、勝てないで散々でした。
今年から開業したエスコンに来てくれるファン方々もプレーボールの時は
たくさんいたのに、5回・6回辺りから、帰っていく姿をよく見かけましたし
僕のところに誹謗中傷コメントが多く来ています。
打てない、勝てない我々の責任なのですが、僕たちも必死なんです。
ですので、誹謗中傷ではなくて、叱咤激励メッセージに変えていただいて、
今日みたいに快勝できた時には、お褒めのお言葉をいただければなと。
僕も他の選手も、けっこう皆さんのメッセージは見ていますので笑」
どうやら、この時期のファイターズの選手のXアカウントなどに
誹謗中傷DMが送られてきており、球団側も割と本気で摘発しようと
動き出していた時期だったのです。
それを重く見たのか、選手会長(キャプテン)である松本剛選手が
ヒーローインタビューの場でこのような訴えをしたと言われています。
しかし、私は、これを見て、少しばかりの危機感を覚えたのです。
日本ハムファイターズが本拠地を北海道に移してから約20年。
新庄剛志や森本稀哲、小笠原道大、陽岱鋼などを中心にファンの心を掴み、
ダルビッシュ有や大谷翔平といった世界に羽ばたいていった選手も輩出し、
2006年から2007年には球団史上初のリーグ2連覇の偉業を達成し、
ドラフト会議になればその年の注目選手を真っ先にドラ1で契約する運もある。
「北海道の皆さんは世界で一番です」
「ファンは宝物」
こうした言葉と共に、北海道にプロ野球文化が根付いてきました。
しかし、だんだんとチームとファンの心が離れてきている。
そんな風に私には見えるのです。
2 選手は勝ちたい。ファンは勝つ姿が見たい。
野球に限らず、アスリートたる者、勝利への渇望は必ずあるもの。
初めから負ける気で挑むような者なんているわけないですよね。
それは、年俸とかシーズン成績とかそういう数字に残るからとかいう以前に、
純粋に「勝ちたい」「負けたくない」という本能的な感情だと思うんです。
一方、ファン側も応援するチームや選手の勝利を望んでいます。
決して安くないお金を払って、球場などに足を運んだり、グッズを買ったり、
ファンクラブに入会して応援したり、TVやラジオで観戦したり。
そういうファンも初めから負けるゲームが見たいわけがないんですよね。
応援する選手やチームが活躍する姿や勝利する瞬間、
カッキーンという快音を響かせながら長打やホームランを見てスカッとしたり、
ちょっと疲れた日々に選手やチームの頑張りに心打たれて勇気つけられたり。
きっと、そういうことをファンは期待しているはずなんです。
その意味では、
選手とファンの気持ちは勝利という同じ方向を向いていると言えるでしょう。
3 選手は仕事。ファンは娯楽。
しかし、選手とファンとの間の決定的な違いは、仕事か娯楽かということ。
選手側は、当然、それで生計を立てている以上、仕事としてプレーしており、
自分たちのプレーが自分の年俸や成績に反映されるので、常に必死です。
一方、ファンサイドから見れば、あくまでも娯楽の一環。
お金さえ払えば、間近でプロのパフォーマンスが見られる。
客席でビール片手にのんびりしていられます。まぁ、息抜きの場ですよね。
言うまでもないくらいに、当たり前すぎる違いなわけですが、
ここに「プロとしての野球」と「エンタメとしての野球」という
違う方向性が生じる余地があるのです。
例えば、ファンの中にはこんな方もいるそうです。
今度の試合を限りに、引退を表明した選手がいたとする。
その選手のプロ人生最後の打席。最後に華を持たせようと、相手バッテリーは
あえて甘い球種を選択して、安打でもホームランでも打たせて花道を歩かせる。
それが気に食わないという人。
また、こんな人もいるとか。
敵チームに2500本安打の大記録を前にした選手がいる。
しかし、ゲーム展開的に自チームが負けかかっている。
そこで、その選手の打順が回ってきても、打たせない厳しい球種で攻める。
それが気に食わないという人。
前者のケースでは、引退して選手生命を終えようとしている選手に対して
敬意を表して敵味方関係なく、引退の門出を祝うことを良しとする人もいれば、
せっかく最後の真剣勝負の場に水を差すようなことをするとは何事だと
憤慨する人もいるということ。
後者のケースでは、大記録を賭けた打席だろうが関係なく、
常に真剣勝負するのは当然だろうと思う人もいれば、
せっかくの大記録達成の瞬間に立ち会いたいと思う人もいるということ。
どちらのケースにしても、気持ちは十分に理解できます。
プロとして、真剣勝負の場にエンタメ的要素を持ち込むのは違う気持ちも、
ファンも巻き込んで球場が沸き立つような盛り上がるプレーがしたい気持ちも。
どちらかが間違っているなんてことはないと思うんです。
4 ファンファーストな球団方針は立派だけど・・・
どの球団も同じように思っていることでしょうが、
特に、日本ハムファイターズは、戦いの場をエスコンフィールドという新天地へ
移したこともあってか、「ファンファースト」という言葉をよく聞きます。
その取り組みの一環として、
球団社長自らが、客席や各施設を歩き回って、利用しているファンの方に
直接インタビューして、忌憚のない意見を聞いて回っているとか、
球団幹部も駐車場の誘導員をしながら、駐車場の使い心地を聞いているとか
そんなことをやっているそうです。
球場に足を運んでくれるファンあってのプロ野球の興行。
だからこそ、ファンファーストな球団方針でなければならない。
それは立派なことだと思います。
しかし、その方針はいわば諸刃の剣。
こちらを立てれば、あちらが立たぬ。とよく言うように、
ファンファーストを突き詰めると、スポーツってただのエンタメに成り下がると
私は思っています。
確かに、ファンあっての活動なのは間違いないです。
しかし、現実は、その裏で選手やチームの苦悩があることも事実です。
野球ファンの皆が皆、そうだとまでは言いませんが、
お金さえ払えば、何でもアリになってしまう環境の温床となるのが
ファンファーストな方針だとも思えるのです。
5 プロが抱えている「苦悩」も知って、もっと楽しもう!
エスコンフィールドが建造される際の開発コンセプトをご存知でしょうか?
野球する・しないに関係なく、皆で楽しめるボールパークを作ろう!
簡単に言ってしまえば、これがコンセプトなんだそうです。
エスコンフィールドでは、温泉やサウナ、キャンプ場にマンション、
グルメパークにキッズコーナーなど、野球だけに限らず、
実に幅広い様々な施設や催しが行われています。
しかし、ファンとして、忘れてはならないのは
「皆で楽しめるボールパーク」の「皆」というのは、ファンのことだけではなく
選手やチームのことも含まれているということ。
ボールパークをファンのためだけのプレーランドで終わらせてはならない。
楽しむということは、ただ単にニコニコ笑顔でいるだけではなくて、
チームが勝てずに苦しい状況なら、ファンも一緒に悔しい思いをする、
チームが勝って嬉しいなら、ファンも一緒に喜ぶ。
それを忘れてはならない。私はそう思うのです。
それを思うと、今のままのエスコンフィールドや日本ハムファイターズの
行く末は、私から見れば、少しばかり不安が残る状態だと感じるのです。
まぁ、言ってしまえば、昨年のエスコンの状況を見ると
「金払ってるんだから当たり前」という お客様=神様 なんて時代錯誤も甚だしい
そんな雰囲気がぷんぷんしていたのです。
その雰囲気の中で、一番、割りを食ったのは、選手たちであって、
松本剛選手のあの言葉は、そういう悔しさから出た言葉なのかもしれないと
私は感じました。
今年は、そんな雰囲気にならないよう、願うばかりです。
と、真面目な話はこの辺にして、
最後に、エスコンフィールドのグルメパーク「七つ星横丁」を
もっと面白くする妄想話にお付き合いください。
新球場誕生を全国でお祝いしようということで、
全国の有名店を招致したというこのグルメパークですが、
全国のグルメを集めるんだったら、グルメペナントレースをやれば良くないか?
パ・リーグに限らず、交流戦でもセ・リーグのチームも来ることだし、
12球団ゆかりのグルメを招致して、グルメパークでどの地域の食が
人気だったかを競う選手やファンの投票イベントをやったり、
試合観戦後に、グルメパークで敵チームのファン同士が交流する場となり、
野球を通してファンとファンの絆を深めるようなそんな夢の国を作る。
こんなことをやったら、もっと面白くなりそうではないか?
試合後に、ファン同士で
「いざゆけ〜無敵の〜若鷹軍団〜🎵」
「誓いのサインはビクトリー〜 すすめ〜ファイターズ 勝利の男🎵」
なんて応援歌を肩組んで歌い合ったりしたら、楽しそう!
長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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