水景の雑記帳

雑談多めの「深く考えない脊髄反射的な」ブログ。ほどよい息抜きに。

素敵な関係

 

 「水曜どうでしょう」という北海道テレビ放送HTB)の番組を

ご存知の方も全国的に多いかと思いますが、その番組を手がけたディレクター

嬉野雅道氏の「ひらあやまり」という著書を読んだことはありますか?

 「どうでしょう」がレギュラー番組から退いて彼の局内での仕事もまあまあ

落ち着いてきたところで、番組制作の裏側だったり、一人のサラリーマンとして

生きる人間のリアルな生態などが描かれている本なのですが、けっこうグッときた

話を一つ紹介します。

 

 2013年に放送された「どうでしょう」のアフリカロケでのこと。

ある晩の食事中、主演の大泉洋氏が嬉野D藤村Dの言動にイラついて少々、

険悪なムードになったのだとか。原因は、大したことはなくて、大泉氏が

「この部屋寒いな〜」と愚痴ったことから始まったそう。アフリカとはいえ、

ロケをした時期はちょうど雨季で、とてもアフリカとは思えないくらい夜は冷えた

らしく、大泉氏の「寒い」発言はロケクルー皆が同様に思っていたのだとか。

 しかし、ロケ時に宿泊した場所は、超高級なロッジ。豪華な内装、高級な調度品、

おまけに食事はフルコース並み。今までのロケで散々もっとひどい目に遭ってきて、

これだけ良い宿に泊まれたのに、今更文句あるのかと嬉野D藤村Dは言ったそう。

それにカチンときたのか、大泉氏は「寒いものは寒いよ。今、風邪ひくわけには

いかないんだよ。寒いって言っちゃダメかい?」と珍しく強めな口調で抗議し、

その後は2人に対しては何も話さなくなり、気まずい空気になったとか。

 しかし、他にもロケに同行していたクルーたちには、いつも通り気さくに話し、

カメラを回すといつも通りの「大泉節」で順調にスケジュールを消化し終え、

嬉野DらはHTBのある北海道へ、大泉氏はもう東京で活動するようになっていたので

東京へそれぞれ別の便で帰ったそうなのですが、東京から来ていた同行クルーから

嬉野Dへ後日メールが。

 そこには、大泉さんがあの晩に2人に声を荒げたことを後悔している、そして、

その後、嬉野さんが気を遣ってくれたことには感謝していると書かれていたそう。

 そして、奇しくも、大泉洋本人からもメールが届き、「雰囲気悪くしてごめん」と

謝罪メールが。

 そこで、嬉野Dは、実は大泉洋も気にしていたのだと知り、彼にこんな返信を。

 「初めてあんたと出会った時は、大泉洋は気のいい大学生で、俺たちD陣はいい歳

 したおっさん。私はね、我々の関係性はずっと変わらないと思っているのさ。

 あれから17年も経ったって、今でもあんたは気のいい大学生のままだよ。でも、

 そうやっていつまでも俺たちがあんたを大人扱いしないのも失礼な話だよね。

 ただ、そうやって俺たちはあんたの気の良さに甘えさせてもらっている。そうじゃ

 ないと「どうでしょう」「どうでしょう」じゃなくなってしまう気がするから。

 でも、それが大泉洋という1人の人間に対して負担を強いることもあるだろうさ。

 これまでやってきたように、杜撰な計画で無謀なロケやって、それをあんたに

「バカじゃないの?」とツッコンでもらうことで「どうでしょう」はできている。

 それは、俺たちのあんたへの甘えであり、あんたの気の良さに感謝、尊敬してる。

 あんな風に「文句あるのか?」なんて言った俺たちだけど、あんたの気持ちが

 わからないほどバカじゃないつもり。あんたの気持ちはちゃんとわかってる。」

 

 このページを読んで、私はグッときました。

 今でこそ、全国的に有名になりはしたものの、放送開始当初なんて、道民でさえ

その存在をよく知らないくらいだったし、初期の企画なんかを見てると、嬉野D

言う「杜撰さ」や「無謀さ」が露骨に出ていて、それに付き合わされる大泉氏や

鈴井氏の気苦労も知れるもの。しかし、彼らはそんなやり方を変えることなく、

むしろそれが自分たちのカラーだと胸を張って主張し続けてきた。それが、徐々に

たくさんの人に理解され、応援されてきた結果につながったんだろうと思います。

 彼らのこの番組制作にかける思いは何も変わっていない。それを「甘え」だと

反省こそしても、それが「感謝」や「尊敬」の念を抱くまでの関係性になれた

というのは、これまで過酷なロケを共にしてきたからこそなんだろうなと。

 そんな「どうでしょう」主演陣とD陣との関係性がちょっと羨ましくなった

私なのでした。

 

 ちなみに、この「どうでしょう」のアフリカロケの出発日。実は、大泉氏は

同じHTBの「ハナタレナックス」という番組のロケ中に抜け出してきたのです。

この時の「ハナタレ」の企画は5時間自由にお金を遣って自由にチームナックス

過ごすというこれまた、「ハナタレ」には珍しい出演陣にとっては「当たり企画」。

高級寿司店で「どうでしょう行きたくね〜」とぼやく大泉氏の姿が見られます。

 おそらく、せっかく「ハナタレ」の「当たり企画」のロケ中に「どうでしょう」

に引っ張られ、いきなり「アフリカ行くぞ」なんて言われたから、余計に大泉氏の

機嫌がよろしくなかったのかなと個人的には思います。